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2006年6月 5日 (月)

A 2 Z

 

 

A2Z Book A2Z

著者:山田 詠美
販売元:講談社
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たった二十六文字で、関係のすべてを描ける言語がある。

男と女の出会いから別れまでをAtoZのアルファベットの頭文字でつなぐ物語。

本文冒頭は緑の文字で上記した一文だった。

私はこの素敵なアイディアに含み笑いをしながら単行本を手にした。

男と女の出会い。それはいつだってaccidentから始まる。

男はよく「僕たちは出会うべくして出会ったんだ」なんてうそぶくけど、そんなのは嘘。神様は私たちの運命になんて付き合っているほど暇じゃない。

恋の始まりは・・・・、いや、人との出会いなんて、始まりは必ずaccident

中学生の頃、男の子たちが

「Aはキス、Bは・・・・・・」

なんて言ってはしゃいでいたけれど、今ならそんな好奇心の塊の時代の幼さを笑うことが出来る。

そんな3つぐらいのアルファベットで終わらせられる程、恋は即物的ではない。

大人の恋はaccidentからゆっくり楽しむことが出来るし、終わった恋を振り返る時だっていつでも出会いから反芻することが出来る。

この本は『A 2 Z』というタイトルながら、恋の手ほどき書とは程遠い。

夫に恋人の存在を知らされショックを受けて泣き崩れる妻に「大丈夫か?」と声をかける夫。それについて妻が「寂しい」と口にすると、「大丈夫だよ、おれが付いてる。そういう時のためのだんなじゃん」と慰める旦那。この素っ頓狂な夫婦関係がこの物語すべてのベースになっている。

その妻もある日突然恋に落ちる。

三十五歳。出版社勤務。既婚。数限りない恋愛小説を読み、少なからぬ恋愛を経験し、時には恋愛をテーマにした本を作ってきた。さあ、何でも、私に聞いてごらんなさい。なんて胸を張っても良さそうなところだが、大きな顔をするのはもう止めよう。私は、何も学習して来なかった。あるいは、学んだことを、すべて忘れてしまったようである。

いくら年齢を重ねても、経験を重ねても、新たな恋をAtoZの途中から始めることなんて出来はしない。

だから人は飽きもせず、新たな恋愛小説を待ち、ラブソングを望むのだろう。

[ boy meets girl ] = よくある話

なんてクールに訳さずに、accidentが連れてきた新たな恋に、いくつになってもジタバタ出来る人って素敵だな、と思う。

風が気持ち良いこの季節にちょっとお勧めな一冊です。

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コメント

うわ!なんかおもしろそう♪「大人の恋」って感じですか?読んでみたい。帰国したら、本屋さんで見つけてみようかなぁ。

投稿: ひめ | 2006年6月 5日 (月) 19時15分

>ひめちゃん
そう。最近山田詠美さんが描く大人の恋の物語にハマっててねー。覚書代わりにここで感想文をその都度綴っていこうと思ってたんだけど、日々楽しいことが起こりすぎてそのままになっちゃいました。気が付けばこのブログを始めてから読んだ本は20冊を越え、そのうち半数は山田詠美。そんな読書感想文をつらつら書かれても読むほうが大変だと思い、お気に入りの何冊かをピックアップして紹介していきたいと思ってます。自分でもカテゴリー『最近読んだ本』で読み返せるし、本・ビデオのカテゴリーに関しては完全に自分の為、って感じです。

投稿: たん | 2006年6月 6日 (火) 10時59分

大人の香りがします・・・。
ドキドキ★

投稿: マッスルドッキング | 2006年6月 7日 (水) 07時45分

>マッスルドッキングさん
ねー。山田詠美さんの本を読んでいると、ミョーにジントニックが飲みたくなってしまうんですよ。男の人が極道映画を観ると肩で風を切って歩いてしまうように(笑)、私も山田詠美の本を読んでいると一瞬イイ女になった気がしてしまいます(^▽^;)あぁ、致命的。。。

投稿: たん | 2006年6月 8日 (木) 00時51分

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