サンタがくれたおほしさま Ⅶ
.
.
あたたかそうな家の中で、ゆうくんと同い年ぐらいの女の子が窓辺にもたれて泣いています。
.「まみ、もう寝る時間はとっくに過ぎてるんだよ。明日起きれなくなるから早く寝なさい」
.
後ろで困った顔をしているのはどうやらお父さんのようです。
.
「いやよ。だってまだサンタさんきてくれてないもの。
どうして来てくれないの?
まみ、お母さんのかわりにいっぱいお手伝いしたのに。
ちゃんと今日までいい子にしてたのに」
.
「サンタさん、いそがしいのかな。去年ちゃんと約束したのにね。
でもちゃんと来てくれるよ。
まみはこの一年とってもいい子だったもの」
.
「ママが死んじゃってもう4年目。
去年もおととしもクリスマスイブだけママに会わせてくれたのに・・・。
サンタさん、まみのこと忘れちゃったの?
ママがまみに会いたくないっていってるのかな?」
.
「そんなことない!そんなことはないよ。
サンタさんはきっと来てくれるよ。
またあのきれいなおほしさま持って」
.
.
窓の外から様子を見ていたゆうくんは、二人の会話を聞いてかわいそうになってきました。
.
「サンタさん、あの子のおほしさまを出してあげて」
.
サンタさんはうつむきながら首を横にふりました。
.
「さっき、君が乱暴にソリに飛び乗っただろう。
その時いくつかおほしさまが地上に落ちていってしまった。
まみちゃんのママのほしもその中にあったんだよ」
| 固定リンク
コメント